絶えない食卓

  1. mamanohibi

 我が家の食卓にはいつも大皿が並んでいた。農家に生まれて、曽祖父、祖父母、両親、伯母、姉、弟と9人家族。近所には親戚もいて、大所帯の中で育った。
 大皿から食べたい物を好きなだけ取って食べるスタイル。子どもの頃はドラマなんかで見かける、一人分ずつのおかずが用意された食卓にとても憧れを感じていた。
 祖父母が農業を営んでいて、キュウリを詰める箱を組み立てたり、スイカにシールを貼ったり、野菜を運んだりとお手伝いをするけれど、すぐに飽きて作業場の中をローラースケートで滑ったり、キョンシーのお札を作ってペタペタ貼ったり、積んである肥料袋から肥料袋の上を飛んでアスレチックにしたりとそんな子ども時代でした。ビニールハウスを張ったり、田植えや稲刈りといったビックイベントには親戚や近所の農家仲間達が集まりそれは賑やか。周りにはいつも新鮮な野菜があり、笑いがあった。

今も変わらぬ大皿料理
 曽祖父と祖父はもういないけど、父と弟が農業を引継ぎ、何かの際には親戚と集まり農作業をしてみんなでご飯を食べる。現在は祖母、両親、伯母、夫、娘、息子と8人家族。今も変わらず、大皿料理と笑いの絶えない生活に満足している。

君野 祥子

きみのしょうこ/1977年福山生まれ。二児の母。18歳で大阪へ。38歳で福山へUターン。NPO法人mamanohibi。

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