発見の木

  1. mamanohibi
「みち」 作・絵:阿部海太 発行:リトルモアブックス 価格:1800円(税別)

 今までどんな景色を見てきたか。誰と、どんな世界を見てきたか。人生はひとつの旅だとよく言うけれど、旅の概念を広げるとそうかもしれない。あるく、あるく、はしる、あるく。人生の1シーンごとを、時には恐る恐る、時には美しさにため息をつきながら、あるく、はしる、あるく。
 この本は幸せだ。恐怖の闇の中でも、喉の渇きに苦しむ世界でも、いつも隣に大切な人がいる。この道のりを一人で歩くと想像すると、震える。途中であきらめたくなるかもしれない。一人じゃないことが、美しい色も、風も、世界を何倍にも広げてくれるのを教えてくれる。
 あなたは一人じゃない、静かにそんなメッセージが伝わってくる一冊で、贈りたい人の顔が浮かぶ、ページをめくるごとにそんな気持ちになる。何よりこの本の最後に広がる世界を見てほしい。恐いと感じる? ワクワクする? それは「一人じゃないと思えるかどうか」かもしれない。
 きっと、人はそうして人生を豊かにしていくのだと思う。物でもない、環境でもない、武器もお金も何も手にしない状態で世界を美しく感じられるのか。大人や子どもの定義はわからないけれど、残された時間は確実に少なくなってきた。何を選ぶかじゃない、何を選ばないか。シンプルなことに気づかせてくれる一冊だ。

井口 絵海

いのくちえみ/1977 年福山生まれ。二児の母。NPO 法人mamanohibi 代表。ラジオDJ(KissFM KOBE)。育児セラピスト。

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