お母さんは、なんでいつもいそがしそうにしてるんだろう? お母さんは、なんでぼくのそばにいてくれないんだろう? ぼくはお母さんと一緒にいたいのに。ぼくはお母さんと一緒に寝たいのに。お母さん、ぼくさみしいよ。
そんな想いを感じながらも、気づかないふりして働かないといけないお母さん。子どもとのくらしを守るために、大人も毎日がんばっている。
お母さんだって、あなたと一緒にいたいのよ。きっと心の中ではそうつぶやいている。
この絵本の中のお母さんは、子どもにさみしい想いをさせている間に、お魚を釣ってきた。これで子どもの自転車も買える。ごはんだって食べられる。あたたかいお布団で寝られる。
世の働くお母さんたちは、いつもどこかに謝っている。「子どもが急な病気で休ませてください、ごめんなさい」と、職場に。「遅くなってごめんね」と、子どもに。「家が片付けられてない、ごめんね」と、旦那さんに。お母さんは何も悪くないのに。
「いつも子どもを待たせている気がして、いつも走ってる」その焦りが余計にお母さんの疲れをひどくさせていく。とにかく余裕がない、のだ。
この絵本に出会った時、子どもではなく働くお母さんに読んであげたいと思った。
あなたは十分がんばっているよ。
お母さんの疲れている背中の理由、お母さんが思っている子どもへの気持ち。この絵本は、代わりに言ってくれている、そんな一冊のように思う。