鹿田忠晴/あき乃城見別邸

  1. ヒトモノ

カウンターの向こう側のおもてなし。

しかだただはる/あき乃グループオーナー。1971年生まれ。大学卒業後、シティホテル内のバー・レストランに勤務。バーテンダーの技術を学び、ソムリエの資格を取得。

 福山城の東側に位置し、福山駅から徒歩6分の場所にあるバー、「あき乃城見別邸」。駅前とは違った、閑静なエリアに、溶け込むように佇む。民家を改装した店内からは、何処に座っても庭を眺められる。画廊を営む母親が設えたという、絵画や花などでも上品さが演出され、少し背筋を伸ばしてお酒をいただきたくなる。

地域の「良い店」でありたい
 「凛とした空気感にしたかった」
 そう語ってくれたのは、オーナーでありバーテンダーでもある鹿田忠晴さんだ。現在46歳の鹿田さんは、40歳で独立し、1店舗目の「BARあき乃」を延広町にオープンした。その2年後には2店舗目となる「HIGHBALL BAR PERLE(ハイボールバーペルル)」を、そして2016年11月に3店舗目となる「あき乃城見別邸」を、オープンした。すべて福山駅から徒歩圏内で、プライベート、カジュアル、フォーマルと、用途に合わせて店を選ぶことができる。もちろん、ひとつの店舗に足繁く通う常連も多い。
 鹿田さんが20代や30代だったころ、あまり自分が住む福山に対して、興味を持つことはなかった。
 「この街をなんとかしなければ。自分たちでより良くするにはどうするべきなのか、と考えるようになったのは、40代に入ってから。店を構えている僕なりのやり方で」と、地域に根差した店作りを目指す。福山で催される祭りやイベントなどには積極的に参加し、近隣の住民や店舗との付き合いを深めていった。
 「街が盛り上がるためには、僕たち自身が良い店である必要もある」と言うと、若いスタッフへの教育にも注力していることを教えてくれた。
 「店のレベルは、お客様と触れ合うスタッフがどういった行動をとるかで決まると思っている」
 3店舗全体が同じ方向に歩めるよう「お客様に感動と活力を」をテーマに掲げている。スタッフそれぞれが日々、感動の意味や手段を考え、小さな目標を立て、達成していく。
 「例えば、お祝いの席には密かに花束を準備する。すると小さくともここに一つ感動が生まれます。あとは扉を開けて差し上げたり、見送りをするなど。自然の流れの中でおもてなしをして、お客様から小さな“ありがとう”をたくさんいただいてほしい。良いことだけでなく、失敗談や、今後の展望など、僕らの世代から彼らへ伝えることで、若い世代に対する刺激になれば」と話してくれた。
 隠れ家のようではあるが、近隣の住人が仕事帰りにふらりと立ち寄ることも多いというあき乃城見別邸。メインのカウンターでは、鹿田さんがシェイクしたカクテルが、キラキラとした一本の筋となって、シェイカーから丁寧に注がれる。カウンター越しに見える、なめらかで流れるような動き。美しい手さばきで作られたカクテルは、より一層おいしさを増す。

あき乃城見別邸
お酒をメインに、空間とサービスをじっくりと味わうことができる大人のバー。メインのカウンター席のほかに、庭が見える個室もある。今後は地元で活動する作家の展示会場としても活用していく。
住所:広島県福山市城見町2-4-16
TEL:084-983-1915
営業時間:18:00 ~ 24:00
定休日:日曜日、月曜日

前原 尚美

まえはらなおみ/ALGORHYTHM

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