去年と今年に訪れた、ロサンゼルスを描いたヒラノさんの作品。片方はロサンゼルスで食べた朝食。もう片方はベニスで見た景色。
府中で生まれて、イラストに生きる。
―― 東福山にあるconoksで夏に個展やってましたよね。
ヒラノ:conoksのオープニングイベント的にやらせてもらいました。初めて福山で個展したのは、KOKONっていうカフェにギャラリーがあって、そこで2013年に。2回目は福山にあった画廊で3年前。今回が3回目でした。
―― こっちにはよく帰ってきますか?
ヒラノ:年に数回ですね。個展をやるようになってからは帰る回数が増えました。
5年くらい前、いろんな人が自分が好きな街をテーマに冊子を作る「わたしのマチオモイ帖」という取り組みで、地元の「府中帖」を作りました。その時、取材させてもらった人たちにお礼として冊子を配ったら反響があって、府中にある図書館やギャラリーで展示する機会をいただき、お菓子屋さんの包装紙、府中の道の駅のお仕事、府中の企業の冊子イラストなどのお仕事ができるようになりました。地元が好きで、地元の仕事をしたいというのはあります。最近、東福山駅近くにある丸天産業からのご依頼で、マスキングテープ用のイラストを20種類くらい描いています。
―― どんな流れでイラストレーターに?
ヒラノ:小中高は剣道。高校で部活辞めて進路を考える時に、絵が好きだからと思ったけど、美大を受けるにはデッサンが必要と知ってあっさり諦めて、香川にある大学の工学部に入りました。すると、生きてない感が出てきたというか、やっぱり絵を描きたいなって。一生懸命やれるものを見つけたくて、大学2年で辞めて、大阪にある専門学校に行きました。それが20歳。卒業してデザイン事務所に就職して、1年半くらいで辞めて、そこからイラストレーターですね。
2010年に、東京の表参道にあるHBギャラリーで受賞したのをきっかけに上京しました。東京に来てからも、30くらいまでは新宿にある沖縄料理屋でアルバイトもしていました。
―― イラストはどう変わってきました?
ヒラノ:始めたばかりの頃って何も描けなくて、絵を描きたい気持ちをぶつけたようなイラストで、ライブペイントばっかりやってたころもありました。それが、だんだんキャンバスに収まるような描き込んだ絵になって。そのうち、そんなに描きこまなくてもいいんじゃないかと思うようになってきました。
最終的には、一巡してまた最初に戻りそうな気がしています。
―― 最近はどんな仕事を?
ヒラノ:雑誌もウェブも広告もいろいろですね。作品として、こういう絵を描いて欲しいという個人からの依頼もたまにあります。雑誌や書籍にイラストを描けば、全国の人が見てくれて、地元の方にも見てもらえる。自分のイラストが、身近な人の目に届くのがうれしいです。
2年前の個展で作品集を作って、作品を遺せた感がありました。来年には、新しい作品集を作ろうと思ってて、それに向けてもっと力を込めて、自分の作品ってなんだろうと見つめ直したいと思っています。
ひらのとしゆき/1984年広島県府中市生まれ。東京在住。2009年からフリーランスのイラストレーター。雑誌、書籍、広告、ウェブを中心に活動中。趣味は奥さんと行く海外旅行。