ちょうせんせいの薬膳入門。
「歩くパワースポット」と囁かれるほどキラキラ輝き、歩むことを止めない女性がいる。張ケイイェンさん。人を引きつける、そのパワーの源に耳を傾けた。
20年以上前、台湾から福山に来た時のことを今でも覚えてるんですよ。その時福山で食べた台湾料理にびっくりしたんです。「台湾料理が辛い。これが台湾ラーメン ? ちがうちがう ! 」って思ってね。これは正しいことを伝えないといけないと思ったんです。
そもそも台湾料理って体にいいものなんです、辛くないんです。家庭で母が台湾料理を作ってくれていたけど、薬草なども取り入れてあって、自然に薬膳を取り入れていました。日本にこの良さを伝えるにはどうしたらいいか。そう考えたのがきっかけで、神戸の学校で薬膳について学び始めました。
あの時は「早くみんなに伝えたい ! 」という思いでがんばっていましたね。同時に、薬膳の持つ「苦そう」「美味しくなさそう」というイメージを変えたかった。だってね、日本の食文化にはもうすでに、みんな気づいていないだけで薬膳が取り入れられてるんですよ。おせち料理なんかまさにそう。漢方でいう「腎」という、生命のエネルギーを蓄えるような役目を司る部分には、「黒い食べ物」が大事なんです。
おせちには黒豆、昆布、黒糖、しいたけなどが並びますよね。それぞれに、「マメに暮らす」「喜ぶ」というように縁起のいい意味がありますが、薬膳の観点からも理にかなってるんですよ。おせちを食べる寒い冬には「血の巡りをよくするもの」を取り入れる。「黒い食べ物」にはその働きがあるんです。
おせちの由来はさまざまありますけど、中国から伝わった説もあるようなので、薬膳が取り入れられているのも納得できますね
体内の水分をコントロールする「腎」
「腎」は生命を維持するエネルギー源。成長や生殖機能のある「精」を蓄えて、排尿機能など体内の水分をコントロールする働きがあるんです。そのほか骨や脳、髪を育んだり、酸素を体内に取り込む「納気」をサポートしているんです。深呼吸は「腎」を鍛えることにもつながるので、意識して深呼吸をするのも大切ですね。
「腎」は20代をピークに減少していくんです。これが衰えると生殖機能や免疫力の低下、髪も薄くなって白髪も増えます。骨が弱くなったりするので「健康に暮らす」ということの妨げにもなりますよね。だからできるだけ衰えを緩やかにしてあげること。薬膳では、食べもので補おうということなんです。
「腎」にいい「黒い食べ物」は、例えば黒きくらげやゴマ。海藻、山芋など粘りのあるもの。エビやニラ、生姜など温性のあるもの。クコの実など木の実もいいんですよ。薬膳を知ると、日々の食卓の組み合わせを考えるのが楽しくなります。
私は大家族で育ったので、にぎやかな食卓での笑顔や環境が人を作ることを知っています。まずはそれぞれの家庭の在り方、食の大事さに改めて気づいてもらうことが大事だと思っています。自分が幸せでないと、人を幸せにはできない。だからみなさんには、まずは自分の体と心を健康にしてもらいたいなと思います。その源はやっぱり食べ物です。もっと薬膳を多くの人に知ってもらって、楽しんで体を作って欲しいですね。
私ね、花を植えるのが大好きなんです。お花は見る人みんなを笑顔にするでしょう。誰かが微笑むのを見て、それを見た誰かがまた、笑顔になる。その笑顔がまた私を笑顔にしてくれます。薬膳の活動も同じで、私ができることで人を笑顔にできたら、これ以上うれしいことはないですね。
張先生が第2・4木曜日に開催する薬膳ランチは毎回すぐに予約が埋まるほど人気だけど、お申し込み時に「STOREHOUSEの雑誌を見た」と伝えると予約可能とのこと。中国語のレッスンには、体験レッスンもあります。
ちょうけいいぇん(CHANG HUIYEN)/ALL Language School代表。ALL Language School語学教室(中国語・英語・韓国語・子ども中国語・子ども英語)。中国茶教室。通訳翻訳(ビジネス分野語学)。
ALL Language School
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