なぎさ、咲きました。
むらかみなぎさ/1988年 7月24日生まれ。福山市沼隈町出身。KOKON/bistro店長。ひとつずつ丁寧に包むスイーツは、彼女の思いが込もっている。KOKONで購入可能。おもたせにも。
2011年に福山市明治町にOPENしたカフェ「KOKON(ココン)」。古いビルを改装したこの店は駐車場も小さく、入り口の階段は急にも関わらず、毎日多くのお客さんで溢れる人気店。福山を代表する店の一つになった。多くの人の暮らしに寄り添っているその魅力を探ると、立ち上げ当初からここで「食べることは豊かにすること」という信念を持って料理を作り続ける一人の女性がいた。村上渚さん。いつも笑顔で料理を作る彼女に話を聞いた。
ーーもともと料理の仕事をしたかったんですか?
村上:人に触れ合う仕事がしたかったんです。給食会社に勤めたり、お年寄りの施設でご飯を作っていたんですけど、当初したかった人との交流ができず、新たな仕事を考えていた時にKOKONのオーナーである藤井と出会いました。彼は今まで見たことないようなポジティブな人で、その時に挑戦しようとしていたお店を手伝いたいと思いました。それがKOKONです。
当初は男の隠れ家のような遊び心を詰めた、あえて看板を出さないような店だったんですけど、すぐにお客様からの要望が膨らんで、ディナーやランチ営業がスタートしました。その後、貸切営業も増え、今はカフェからKOKON/bistroになりました。料理も一気に幅を広げて、スイーツはとってもご好評をいただいています。
ーーすごいスピード感でお客様のニーズに応えてきましたよね。
村上:手作りでワインセラーを作って、徐々にお店の面積も広げていきましたね。完成形でスタートさせずに、結果、みなさまの声に合わせて形を変える店になりました。今もそうです。まさに先日またスペースを広げて、カウンターを1つ増やしました。私が笑顔で働いているように見えるのであれば、それはオーナーの感覚を信じて、楽しんでやっているのが大きいと思います。うちの特徴はスタッフがみんなもともとのお客さんで、お店の大ファンであることです。
ーー店の魅力は?
村上:オーナーだと思います。彼は料理をしないので、いつもお客様の目線でメニューを考えるんですね。すると作り手の私にはないアイデアが出てきて、いつも刺激をもらうんですよ。常に自分の感覚に素直で、次に向かって動いています。このお店もそうですけど、引野町の2店舗目のカフェ「conoksを」出す時もオーナーは夜通し壁を壊して塗ったり、机を作ったり。あのエネルギーに引かれている部分は大きいですね。
ーーKOKONの立ち上げ時に、オーナーは「公民館のように人が集うお店にしたい」と話されていましたね。7年目を迎える今、いかがですか?
村上:まさにそんな風景になっている気がします。いろんな人の出入りが増えて、みなさんと作っていると感じることが多いですね。入口にはエレベーターがないんですけど、車椅子の方がそれでも、と来られたことがありました。みんなで車椅子を運んでサポートして、お客様に店内で過ごしていただいたときは本当にうれしかったですね。
ーー村上さんがこれから目指すお店は?
村上:幼少時代から「食」に触れることが多く、食べることにまつわる仕事で、人と触れ合うことをしたかったんです。小さい頃、おじいちゃんが作る野菜を一緒に採り、料理をしていました。お母さんが喜んでくれることがすごくうれしくて。うちは家族が多かったので、食卓は会話が飛び交ってとても楽しい時間で、人にとって楽しい食事がこれほど大切だということを知った場でしたね。だからうちのお店での食事も、そうなるといいなと思っています。食べることの提供と共に、お客様との会話も同じくらいに大事にしたいです。
新しく始めたことなんですけど、この春、福山市の服部に畑を設けました。スタッフでお弁当を持ってピクニックを楽しみながら野菜を育てています。地元の方に教えてもらい、入手困難なケールを作ったりしています。ゆくゆくは100%自給自足ができたらなとみんなでがんばっています。今は畑に行く時間が気分転換にもなって、畑作業が楽しみになってるんですよ。
KOKON/bistro
住所:福山市明治町2-5-3&1 2F
TEL:084-983-2726
営業時間:11:00〜15:30、18:00〜23:00、11:00〜23:00(土日祝)
定休日:火曜日