こなすだけでは「仕事」とは言えない。
おおやまのぶかず/オオヤマ塗建 代表取締役。1976年生まれ。1995年におかやま山陽高校卒業。土木管理の仕事を経て、2001年塗装業界に。2014年1月より現職。
福山市曙町にあるオオヤマ塗建。塗装というと建物の外壁や内装を思い浮かべるものだが、オオヤマ塗建では家具なども手掛けるという。オオヤマ塗建代表の大山信和さんを訪ねた。
最近、「思い出の木製家具の塗装をしてもらえないだろうか」という依頼を受けた大山さん。
「木製家具の塗装は自分で塗装したくても難しいと諦められる方もいるようですが、私たちは家具の塗装も受け付けます」と話す。一族で代々受け継がれてきた家具など、それがどう使われてきたのかといった背景まで理解してから塗装を施すという。
「私たちはただ単に、きれいに色を塗ることが仕事ではありません。家具や外壁に関わらず、そこにあるお客様の想いや背景を受け取り、色をのせているんです」
一部であっても全体を見る
建物の外壁の塗装の依頼を受ける際にも、たとえ塗装個所が一部であっても、建物全体を見た上で提案するようにしている。
「今の時代だと、塗装に使う材料は常に進化していて、どのような材料をどこに使うのかなど、家や環境、素材に応じて材料を使い分け、相性の良し悪しも含め、一日でも長く、良い状態を保てるように計算をし、作業をする必要があります」
外壁診断士の資格も持っている大山さん。築年数や海からどのくらい離れているかなど状態を細かく確認する丁寧な仕事に、個人、公共を問わず、さまざまな仕事が舞い込み、以前携わった現場からの紹介も多いという。
大山さんは、最初から塗装の世界に身を置いているわけではない。岡山県井原市出身。小さい頃から父親について塗装の現場に訪れ、作業の手伝いをしていた。高校は土木科に進み、卒業後は土木管理の仕事に。7年勤めたころ、父親から仕事の相談を受けた。
「そのころ父親は45歳。オオヤマ塗建を続けていくためには僕の力も必要だと考えたんでしょう」と大山さん。転職には葛藤があったが、親や将来のことを考え「父親の仕事を受け継ぐのは今しかないのでは」と決意した。
職を変えてからは、父親の元で修行のような日々を送った。最初は戸惑ったり、思うようにできないことへの情けなさを感じたり、辛い時期もあったという。それでも負けず乗り越えられたのは、中高で打ち込んだ野球の存在があった。
「小学校の時はソフトボール。中学から野球を始めて高校まで続けました。野球を通じて、諦めず続けることの大切さを学びました」
野球に学んだ「つながり」
高校野球部のメンバーとは、数年前に再会したのをきっかけに、今では年に1、2回はOB会をする。メンバーの中には、今では仕事でつながる仲間もいて、人とのつながりの大切さなども、野球を通じて学んだことだ。
代表となった現在は「お客様にどうやったら喜んでもらえるか」「お客様は何を求めているか」を常に考えているという。依頼を受けると今も自ら現場へと出向き、その建物や環境に合った塗装を提案する。
「与えられた仕事をこなすだけでは、本当の意味で仕事とは言えないと思うんです。やる以上は相手に喜んでもらって、満足して笑顔になってもらいたいといつも心がけています」
オオヤマ塗建
2014年1月に福山市曙町へ事務所を構える。一般客から公共まで塗装の仕事を請け負う。社長自ら現場へ出て作業をし、塗装やリフォームの提案を行う。
住所:広島県福山市曙町5-4-39
TEL:084-953-3757
営業時間:8:00〜17:00
定休日:日曜日