Peter Card/ツアーガイド

  1. ヒトモノ

ローカルのディープな旅に英語で誘う。

ピーター・カード/ツアーガイド。アメリカ・フロリダ州出身。1984年生まれ。2010年に英会話講師として来日。外国人向けに、地元ならではの店や場所を巡るツアーガイドとして活動。

 瀬戸内エリアを中心に、外国人向けのツアーガイドをしているピーター・カードさん。地元の店や人々との触れ合いを通じて、この土地を身近に感じられる旅を提案しています。今から9年前、アメリカから日本にやってきたピーターさん。ツアーガイドという仕事を始めたきっかけなどを伺いました。

― ―なぜツアーガイドを?
ピーター:9年前に英会話講師として日本にやって来て、いろんな場所に行きました。観光地よりも地元の人が訪れるような店や場所が好きで、いつもそういうところばかり巡っていたんです。ある時、自分が行く場所には、外国人がほとんどいないことに気づきました。知り合いからも、「自分より地元のお店に詳しいね」とよく言われて、そういった店や場所を外国人に紹介することに価値があるんじゃないかと思ったのが、ツアーガイドを始めたきっかけです。

― ― ツアーガイドを始めるにあたって、迷いはなかったんですか?
ピーター:なかったですね。始めたのは2018年9月ですが、それまでは、資格を持っていないとツアーガイドができなかったんです。2018年に法律の改正があって、資格を持たない人もできるようになった。だから、「これはやらなきゃ」と思って始めました。この地域には、外国人向けのツアーガイドがいなくて、絶対に成功すると思いました。
 
― ― どんなところを回りますか?
ピーター:僕は昭和時代の建物や内装が好きで、喫茶店や食堂、屋台、古本屋といった、大衆文化が残る空間を紹介するようにしています。普段、こうした店に外国人が入っても、そもそもメニューが読めなかったりしますが、僕がアテンドして翻訳することで、そういうローカルな店に行けるようになります。

― ― ツアーガイドを始めて難しかったことは?
ピーター:初めたころは、SNSやウェブサイト運営、プラン作りも自分でやっていました。でも、自分ですべてをやろうとすると手が回らなくて、やり方を変えたんです。今、ツアーガイドの依頼はエージェント経由で届きますが、この方法は安定して依頼が入って来ます。案内できるエリアも広島市内や岡山県、香川県と広がって、連泊ツアーなど、これからもっとおもしろくなりそうです。

― ― 瀬戸内の風景はどう見えますか?
ピーター:瀬戸内は、豊かな自然があふれる場所。鞆の浦や尾道には造船会社があり、港街としての印象もあれば、ハイキングができるような山並みもあります。地域全体が大きな公園のような感じで、初めて来た時、とてもびっくりしたのを覚えています。でも、尾道に引っ越してきて、いろんな場所を探索して、周りの人に「こんな発見があったよ」と話しても、返ってくるのは、「それって発見なの?」という反応ばかりでした。外国人の僕が、「この街はここが楽しいよ」とか、「この街をもっと楽しもう」と、地元の人たちにも伝えたいと思います。

― ― ツアーガイドの仕事とは?
ピーター:普段から、「ここはすごくご飯がおいしいんだよ」とか、「ここはすごく良かったけど、もう行った?」といった話をするのが好きで、ツアーガイドとしても、単に観光地を回るよりも、寄り道しながら地元の人とおしゃべりして、観光では行かないような、地元の人たちが好きな場所を紹介していきたいと思っています。友達感覚で楽しい時間を一緒に過ごして、体験してもらうのがツアーガイドの醍醐味。ツアーガイドを、「仕事」と感じたことはこれまでに一度もなくて、大袈裟かもしれないけど、生き甲斐のようなものだと思っています。

Tastemaker
ツアーガイド依頼もできる、ピーターさんが運営するウェブサイト。どのような体験をしたいかなど、さまざまな要望に合わせて、オススメのプランを提案してくれる。
TEL:080-6306-8792
Mail:tastemakerjapan@gmail.com
https://www.tastemakerjapan.com

山崎 小由美

やまさきさゆみ/ALGORHYTHM

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