2人で作る、街の小さな洋菓子店。
やまうちたかひろ/SMALL BAKE SHOP代表。1975年生まれ。大阪あべの辻製菓専門学校を卒業後、大阪・東京と渡り、福山へ。
川口町の住宅街にある洋菓子店「SMALL BAKE SHOP」。小さなお店の店内には、香ばしい焼き菓子や小さくカットされたケーキがずらりと並ぶ。合成保存料や食品添加物、マーガリンやショートニングは使用せず作られたやさしい味わいのケーキは、子供から大人まで安心して食べられると人気だ。少し強面のパティシエの山内隆裕さんと気さくで明るい奥さんの紀子さんと二人で営む洋菓子屋さん。山内さんの半生を振り返りながら、これまでについて聞いてみた。
ただ、洋菓子が好きだった。
1975年生まれ。3人兄弟の長男として育った山内さん。子供のころからパティシエに憧れがあったのかというと、そうではないらしい。
「小学校の時の将来の夢は、サッカー選手かな。ちょうど、キャプテン翼とマラドーナの世代で、小学校も中学校もサッカー部だったよ」
高校も地元の明王台高校へ。高校時代は楽しい学生生活を送ってはいたが、特別夢中になることは見つけられず何となく過ごしていた。そんな少年が、なぜ洋菓子の道へ? きっかけは、とても単純だった。
「洋菓子が好きだったから。勉強も好きじゃないし、普通の会社に入ってサラリーマンだとかも向いてないと思ってた。手に職を付けた方がいいとも思ってたし、どうせなら好きな事の方がいいなって」
そんな明快な動機から、洋菓子屋さんの道はスタートしたのだ。そうして、高校を卒業し大阪の製菓の専門学校へ。無事に学校を卒業後、23才まで大阪、それからは東京で、30才手前で体を壊し福山へ帰ってくるまで、いくつかの洋菓子店やレストランを渡り働いた。
福山へ帰ってきてからは、5年程サラリーマンもしたという。
「気分転換にもなったし、それはそれで刺激もあっておもしろかったけれど、会社がなくなっちゃって」
再度放り出された山内さん。さあどうしようかと自分に何が出来るかを再度考えたとき、ケーキを作るしか出来ないと思ったそう。その思いを持ってから数年、現在の川口町にお店を出した。38才の時だった。
それから、奥さんに手伝ってもらいながら夫婦二人三脚の洋菓子店が始まった。
ケーキを作るより売る方が難しい
山内さんは自分でお店を開くまで、ケーキを作ったことはあっても販売はしたことがなかった。どれだけおいしくてもケーキが売れないと商売にならない。
SMALL BAKE SHOPでは、ケーキを売るのは奥さんの仕事だ。奥さんがいつも明るい笑顔で、どんな人でも受け入れてくれるような親しみやすさを感じさせてくれるからこそ、山内さんも安心して洋菓子作りに打ちこめる。
「僕が作っても、実際お店に立って売ってくれるのは奥さん。素直に感謝しています。自分のできない事をやってもらってるし、お互いの役割がきちんとあって、それで機能をしているからちゃんと成り立つしね」
毎日一緒にお店に立っていたら喧嘩は?と聞かれることも多いそうだが、「お互いにやっていることが別々だから」と笑って話していた。

SMALL BAKE SHOP
2013年4月開店。旬の素材を使用したケーキや洋菓子は常に人気。事前に予約をすれば、キャラクターケーキやアレルギーに配慮したケーキなども作ってもらうことが可能。
住所:広島県福山市川口町2-10-37
TEL:084-953-5030
営業時間:9:00~20:00
定休日:木曜日
https://www.facebook.com/smallbakeshop/