ものづくりの街に欠かせないものとは?
のぶおかこういち/有限会社エキヤパッケージ専務取締役。1975年生まれ。3人の子を持つ父親。夏は海、冬はスノーボード。親子でゴルフを楽しむことも。
家具や金属でできた部品、保命酒や農作物など、福山では日々、さまざまなものが生み出されている。それらを保護するのに欠かせないのが梱包資材。約30年に渡って、段ボールケースを扱ってきたエキヤパッケージの信岡幸一さんに聞いた。
1991年、段ボールケースのメーカーとして創業したエキヤパッケージ。段ボールを商品に合わせた箱型に加工して、いろんな企業に出荷しています。父と母が2人で、断裁機やホッチキスのような金具を打つ機械を購入して始めました。当時は手作業も多かったようです。2001年、今いる福山北産業団地に移るタイミングで、新たに印刷機や打ち抜き機を導入して、機械だけで段ボールケースを製造できるようになりました。
現在は、マルチカッターなどの機械も導入し、段ボールケースに加え、住宅用の断熱材なども作っています。工場内には、「断裁機」と書いた看板がありますが、あれも段ボール製。機械で文字を切り抜いて作りました。
工場が多い場所の近くには必ず、私たちのようなボックスメーカーがあります。福山は産業の街なので、商品を保護する梱包資材の需要が多く、段ボールを扱う企業も多いと思います。人手不足や福山に進出してくる同業他社が増えたことなど、ここ数年で廃業や倒産したケースが数社あります。福山には今、段ボールケースメーカーが6~7社、包装資材を扱う商社は10数社ほどあると思います。単価が安い段ボールケースは、基本的に、大量に生産しないと商売になりません。
地元の高校を出て東京の専門学校に通いましたが、卒業後は福山に戻り、家業を手伝い始めました。小さいころは両親がいる工場で遊ぶことも多く、段ボールがいつも身近にありました。だから、段ボールに関わる仕事に就くことは、とても自然な流れでした。
段ボールケースを美しく仕上げる
現在は、消費者の要望に合わせて、カスタムできる商品も増えています。例えば、ソファなどの家具は、部屋のサイズに合わせて幅や高さを変更できるものもあります。こうした場合、商品に合わせたサイズの梱包資材が必要です。
エキヤパッケージは創業からこれまで、「あなただけの箱を一個からご提供させていただきます」という信念でやってきました。オーダーメイドの依頼も多く、あらゆるサイズに対応した段ボールケースを作り、5枚、10枚の少ロットでもオーダーを受け付けています。
段ボールに発泡スチロールを貼り付けるなど、機械でできない作業は、今も手作業です。創業当初にやっていた、機械と手作業の組み合わせが、今また役立っています。
商品を保護するために、サイズと枚数をオーダー通りに製作することに加えて、商品が届く先のお客様にも満足いただけるよう、段ボールケースを美しく仕上げることも心掛けています。 (文=前原尚美)

有限会社エキヤパッケージ
少ロットのオーダーメイドにも対応する段ボールケースのメーカー。クオリティーとスピードに定評がある。従業員数14名。
住所:広島県福山市駅家町法成寺1575-24(福山北産業団地内)
TEL:084-949-3549
定休日:土曜日、日曜日、祝日
http://www.ekiyapackage.jp