小さな一歩を踏み出すことから。
かいはらやまと/合同会社SrtAction代表社員。「福山移住新聞」編集長。1986年生まれ。福山市出身。2017年福山にUターン。「福山コン」など駅前商店街の再興を目標に活動する。
「福山移住新聞」を知っていますか。これはFacebook上のコンテンツで、「福山にIターンしてきた人たちが語る福山」を紹介しているものです。運営しているのは、「福山コン」という街コンを主催し、福山市三之丸町で「iPhoneお直し本舗福山店」を営む貝原大和さん。貝原さんが仕事を通じて取り組む、福山駅前の再興について聞いてみました。
福山に戻ってきたのは2017年。九州の大学を出て、東京で8年ほど暮らし、ベンチャー企業で出版の仕事などをしていました。東京の暮らしも好きでしたが、30代のうちに福山に帰ってくることはもともと決めていました。理由は、「地元だから」としか言いようがありませんが、地元のために、地元で仕事をしたかったんです。
地元の人に読んでもらいたい
2017年に始めた福山移住新聞は、東京にいたころから続けています。福山にいる人に客観的な視点で見た福山の魅力を伝えたいというのと、自分の中に、もっと福山を好きな理由を作りたかったのが始めたきっかけです。
移住新聞という名前なので、福山の移住者を増やす活動と勘違いをされることがありますが、純粋に、Iターンしてきた人に福山の良さを語ってもらっているだけ。むしろ、地元の人に読んでもらいたい内容です。僕みたいにUターンしてきた人だと郷土愛的な要素が見えますが、Iターン移住者が語る福山の良さは、客観的で純粋な意見。地元の人が今まで評価していなかった、当たり前と思っていた福山のことに実は価値があると知ることができます。そういう人々の話を通じて、読んだ人がこの街の魅力を再確認して、何か少しでも変わるきっかけになればと思っています。
だからこそ、登場する移住者の業種や世代が偏らないようにしたいというのがあります。いろんな人の話を聞いて、多様な視点から見たこの街の良さを発信することを意識しています。
駅前の活気を取り戻すには?
僕は福山を、ここに暮らす人々がよりいきいき仕事をして、地元で消費したくなるような街にしたいと思っています。そのためには、駅前がすごく大事。その上でやっぱり駅前が寂しかったりするとお金を使う機運がなくなると思うから。今の駅前は、シャッターの閉じている店舗が多くあったり、若い子たちが集まる場所もなかったり、正直寂しいと感じます。天気でいうと曇りみたいな空気感が広がっている気がするんです。
僕は、駅前で「福山コン」という街コンを開催したり、iPhoneを修理するショップの経営をしています。福山駅前商店会の最年少の役員で、三之丸町から「リムふくやま」までの通りの活性化などにも取り組んでいます。
最近、駅前にも、飲食店を中心に若い人の出店が少しずつ増え、若い人が少し踏ん張ることで、街に影響を与えられる時代になってきたと感じます。この流れをさらに活発化させるには、駅前の地権者やそこで商売をしていたり、そこに住んでいる当事者たちの力が不可欠です。こうした方々の中にも、このままじゃだめだよね、とおっしゃる方も増えてきました。未来に投資するという意味では、こうした方々と僕たち若者世代やそこに入ろうとする人たちとのつながりを作ることが重要です。僕のような若者が、自ら商店会の中へ参加したり、街でのイベントや活性化に向けての取り組みを一緒にすることで、つながりを広げていけたらと考えています。
小さな一歩で街の風景は変わる
今まで仕事をしてきた中で、ちょっとしたことで自分の見る景色が変わる瞬間を経験してきました。駅前で開催する福山コンもそうですし、クリスマスの時期にはサンタの恰好をして子供たちの家を回る活動もしています。それって本当にちょっとしたことで、自分がすることで笑顔になってくれる人がいたり、それに応えて集まってくれる仲間が増えたり。仲間が増えると、できることの規模も変わってきます。
自分がやりたい、やってみたいと思っていることの多くは、自分が小さな一歩を踏み出すだけで、実現することだったりします。もっと多くの人がそういう一歩を踏み出せるように、自分が企画する側や作り手、情報を伝える側に回ることが、楽しいと伝えていきたいです。
まずは自分がその形をみせることから。移住新聞や福山コン、駅前の活性化など、活動を通して、自分たちで動いて、街にできる小さな一歩を踏み出すことの大事さを伝えられるといいなと思います。

合同会社StrAction
2017年8月1日に本籍地を東京から福山市三之丸町へ移動。地域活性化、駅前活性化を目標の一つに、営利事業と非営利事業を複数運営している。
住所:福山市三之丸町8-8
TEL:084-982-6531
http://straction.biz